原稿用紙の使い方

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原稿用紙の使い方

 次の本文を400字詰め原稿用紙に、正しい原稿用紙の使い方で縦書きで清書してみましょう。

『下人の悩み』について
ねこ ふみお
 1年生の時に教科書で学習した芥川龍之介の「羅生門」に、
今日の空模様も少なからず、この平安朝の下人の
Sentimentalisme(感傷癖)に影響した。
という表現がある。この何気なく見過ごしてしまいそうな表現が、実は下人の生き方を象徴したものであることに気づく人は少ない。
 下人は、「飢え死にをするか」「盗人になるか」と、確かに時間をかけて悩みはするが、実際のところは、己の今後の生き方について、理屈を突き詰めてどうするか考えようとしているわけではない。降りかかった困難に対し、ただただ情緒的におろおろし、困って、結局は成り行きに任せて行動をしているだけなのである。
この様な彼の姿は、『自分の生き方は自分で納得のいくように責任を持って考えている』とうぬぼれている我々に自身の生き方を反省する手がかりを与えてくれる。

タイトル・名前はバランスよく

 タイトルは、二〜三字下げて書き始めます。
 名前は、下から一,二字上げて書きます。
 タイトルの前、名前の後の行は一行あける方が余裕があってバランスがよいかもしれません。総じて、タイトルや名前で何行使うかというような絶対の決まりはありません。見た目のバランスを考えて、うまく収まるレイアウトを考えましょう。
 副題がある場合や、タイトルと名前の間に校名などを入れるときなども、これを応用してください。
 ただしタイトルや名前の行を多く取れば、作文の量が減ると考えて、やたらと行数を取るのはやめてください。意味のない字数稼ぎをして本文を減らせば、それだけ中身がなくなるわけですから、よい評価をもらえるわけがありません。タイトルの行を多く取れば、それだけ内容が後ろに行く分、原稿用紙の使用量が増えるだけだと考えてください。
 テストなどで、タイトルや氏名を書く欄が欄外にある場合は、原稿用紙には最初から内容を書き始めます。

本文の書き方

 数字は、縦書きの場合は漢数字にします。横書きの場合は、数を表すものは算用数字、それが熟語になっているような場合は、熟語の一部ですから漢数字を使います。(『ねこ』P4 3

・第1回
・五十歩百歩
・第2次世界大戦、第二次世界大戦
2回目の世界大戦と考えれば算用数字。
世界大戦の固有名詞と考えれば漢数字。
どちらの考え方も受け入れられています。

 下の解答例は、縦書き用に漢数字にしました。横書きなら、「1年生」でも構いません。

 カッコはふつう「」を使い、やたらと『』を使うようなことはしません。
 ただし、『羅生門』などの書名、「」の中でさらに「」が必要な場合は、内側のカッコを『』にします。(『ねこ』P4 4

 句読点や括弧などの記号も、原則として1文字1マスで書きます。ただし、句点に終わりの括弧が来る様な場合、。」 これを1マスに入れてしまいます。
 句読点や終わりのカッコ、たとえば )や 」などが行の頭に来るような場合は、これを行頭に持ってこず、前の行の終わりにぶら下げて書きます。(ワープロなどで、このような処理をさせることを、「禁則〔きんそく〕処理」といいます)(『ねこ』P4 2
 この行頭に句読点や終わりのカッコを書かないで、それを前の行の最後に書く行頭禁則処理は、原稿用紙の書き方で書く場合、絶対に守る必要があります。それをしないとテストなどでは必ず減点されます。

 ただし、200字~400字程度までの短い字数制限がある現代文の問題で、段落替えをしない場合は、原稿用紙の書き方はしてはいけないので、行頭に句読点や終わりの括弧が来てもそのままそこに書きます。この場合は、句読点や括弧も文字数として数えなければならないので、禁則処理をして字数を超えてしまうとむしろ減点されてしまいます。
 400字位長くなると、段落をつけたくなる場合もあると思います。その場合は、段落替えで行を変えるとそもそも厳密な文字数ではなくなるので、原稿用紙の使い方で表記するべきだと思います。

 禁則処理には、行末禁則処理というのもあります。これは、行の最後に、「 や( などの始まりの括弧が来る場合、そこを空欄にして、始まりの括弧を次の行の最初に書くという処理です。この行末禁則処理は、それをすべきだと書いてある教科書もいくらかありますが、書いていない教科書もあります。実際模試などの場面では、行末の禁則処理をしているかどうかは不問にしている場合が普通ですので、これはあまり気にしなくても構いません。
 まあしかし、いくらかの教科書が、この行末禁則処理も採用している現状なので、偏狭な採点者に当たると、「教科書にも載っている」といって減点されてしまうということもひょっとするとあるかもしれません。入試などのテストなら、一応この行末禁則処理もしておいた方が無難かもしれません。(ねこは、この行末禁則処理ははっきり言って大嫌いです。)
 ……や棒線などはやたら使わない方がいいですが、もしどうしても使う必要があるなら2マス使います。・は1マスに3つ入れて2マスです。

 引用は、短いものは改行せずに、「」で囲んで文中にそのまま入れます。長い引用は、改行して、原稿用紙の3文字目が引用文の原稿用紙の一番上の字のつもりで書きます。(全体を2文字分下げて書くということ)この場合、引用が終わったら、改行して一字下げずに本文に戻ります。(『ねこ』P4 6
 上記の引用の場合以外は、むやみと改行することはありません。改行するということは段落を変えるということですから、改行したら一番初めの字は必ず1文字下げて書き始めます。(『ねこ』P19

 英文などのローマ字を書く場合は、1マスに2文字づつ入れて書きます。縦書きの場合は、右が頭になるように、アルファベットを並べます。 

解答例

羅生門原稿用紙解答1
羅生門原稿用紙解答2
「下人の悩み」について
             ねこ ふみお

 一年生の時に教科書で学習した芥川龍之介
の『羅生門』に、「今日の空模様も少なから
ず、この平安朝の下人のSentimentalisme
(感傷癖)に影響した。」という表現がある。
この何気なく見過ごしてしまいそうな表現が、
実は下人の生き方を象徴したものであること
に気づく人は少ない。
 下人は、「飢え死にをするか」「盗人にな
るか」と、確かに時間をかけて悩みはするが、
実際のところは、己の今後の生き方について、
理屈を突き詰めてどうするか考えようとして
いるわけではない。降りかかった困難に対し、
ただただ情緒的におろおろし、困って、結局
は成り行きに任せて行動をしているだけなの
である。
 この様な彼の姿は、「自分の生き方は自分
で納得のいくように責任を持って考えている」
とうぬぼれている我々に自身の生き方を反省
する手がかりを与えてくれる。

 なおこの問題の、問題用紙、解答、解答用紙はダウンロードしてご使用ください。
 この例文に書いた読解の内容に興味を持ってくださった方は、『羅生門』(芥川龍之介)の読解をご覧ください。

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