教科書もでたらめ1

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教科書もでたらめ1

 上のタイトルだけ見ると、そんなにひどい教科書なのかと思ってしまいます。ですが大修館の国語表現 改訂版(国表307 平成29年文部科学省検定済み)は、他の教科書にはない実際に使える工夫された教科書だと思います。
 私は、国語表現という教科が、教科書ができていないままに開始された当初から国語表現の授業を担当していて、後から出てきた教科書も全く使えるところがないものばかりであるのを見てきていますから、あまり教科書を本気で見る気にはなれません。ですが、チラ見する限りでは、生徒に作業をさせて時間つぶしはできるが、作文力を高めるためには効果のないようなしょうもない課題ばかりを載せる教科書が並ぶ中、この教科書は、実際に作文力を高めていくために段階を追って練習をしていく工夫がしてある画期的な教科書であると思います。
 ですが、それほどの意気込みと工夫を持って作成された教科書であるはずなのに、「確かに~しかし~」の捉え方は、どうしようもなくダメです。なんで、これだけの教科書を作れる人が、「確かに~しかし~」になると、訳のわからない生徒を惑わせるような説明をしてしまう(教科書PDFへリンク)のでしょうか。

「反論の評価」の必要性を指摘しない

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 上でリンクした教科書ページの2枚目(P36~P37)の一番駄目な点を挙げると、「確かに」の段落で、「反対意見について書く」とあって、「しかし」の段落で「自分の意見の理由の内、最も説得力のあるものを書く」とだけしか説明されていない点です。これではまるで樋口裕一です。
 このHPでも何度も説明しているように、「確かに~しかし~」は、「予想される反論を少しだけ書いて、次に自説をたくさん続けて書く」だけでは駄目で、「書いた予想される反論に対して、それを認めてもなお自説が優位になるように、何らかの評価を必ず付け加えておかなければなりません。そのことに対する注意をせずに、このような説明では、生徒が論旨の通った文章を書けるようになるはずは絶対にありません。
 実は、「反論の評価」については、この教科書の1枚目(P35)の下の方の「理由の取捨選択」の欄に、「対立する意見についての理由は、自分の意見でしっかりと打ち消せるものを選ぶと、書きやすい。」という記述がちょっとだけ添えてあります。この教科書編者も、「反論の評価」について、少しは考えているのでしょうが、この考えが根本のところで間違っています。
 一つは、必ず、「対立する意見についての理由は、自分の意見でしっかりと打ち消」さなければならないのであって、それがない場合は、譲歩して相手の意見を認めたのに、それを無視して自分の言いたいことを一方的に述べる最悪の文章になってしまいます。決して、「打ち消すと書きやすい」というようなレベルの話では有りません。
 二つ目には、たとえ、自分の意見を言うことによって、なんとなく相手の主張を打ち消してしまえそうな場合であっても、「自分の意見でしっかりと打ち消せるものを選ぶ」だけでは駄目で、実際に打ち消す主張をしないと、相手の主張が打ち消せたことにはなりません。
 更に三番目として、「確かに」以降で認める相手の主張は、「自分の意見でしっかりと打ち消せるものを選」ぶのではいけません。自分の意見に対して反論が予想される場合、いろいろな反論があるかもしれません。その時に、「確かに」以降で取り上げなければならないのは、一番強い相手の反論であって、それ以下のすぐに自分の意見で打ち消せるような弱い主張をここに持ってきても意味はありません。
 自分の意見に対して、予想される一番強い反論を一応認めて譲歩し、それでもやっぱり自分の主張が成立する理由を述べて切り返していくからこそ、自説を一方的に述べるだけでは得られない強い説得力が生まれるのです。

他の駄目な点については次頁で

 この構成説明のもう一つの駄目な点に付いては、次頁でこの教科書編纂者の考えに触れながら説明します。また、この構成メモに基づいて出来上がった小論文例の添削は3頁後で。

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