反論に対する反論は必須

スポンサーリンク

反論に対する反論は必須

 前頁で、「確かに~しかし~」を使った、高校入試の模範解答に、あなたなら何点付けるかという宿題を出しました。私の採点基準に従って、100点満点で採点してくださいね。(元の問題は配点が異なります)


県発表模範解答例(リンクで縦書きPDF表示)

 私は、方言を進んで使っていきたいと考えています。
 確かに方言は、その地域に暮らしている人以外には分かりにくく、限られた人々の間での言葉という印象を与えるかもしれません。
 しかし、自分が暮らしている地域の言葉を使って話すことで、相手と親しみが増したり、郷土を大切に思う気持ちがいっそう強くなったりする思います。地域に欠かせない文化として、方言は大切だと私は考えます。

 この解答では、私の基準では、不合格点の65点です。「確かに」以降で認めた、「地域以外の人には分かりにくい」という、予想される反論に対する反論が一切ありません。樋口裕一が作る模範解答と同じ病状です。
 高校入試の採点としても、甘々に採点しても、満点の2/3以上は絶対にやりたくはないところです。
 だからこんな解答を模範解答として発表されてしまうと、採点のしようがなくてとっても困ってしまいます。

「確かに~しかし~」の使い方

 このように、「確かに」で認めた予想される反論に対して、一切反対意見を述べないときには、自論とは反する意見を自分が認めているにもかかわらず、それを横に置いておいて、自分の論を述べ立てるだけになってしまっているので、「反論はあるだろうが、そんなことは私は知ったことではない。私はこう考えるのだから」と一方的にまくしたてているだけになってしまいます。
 「確かに~しかし~」は本来、そんな身勝手なものではなくて、反論をあらかじめ予測しておいて、「そう考える人も当然いるとは思うが、以下のような理由で、その考え方よりも私の考え方の方が断然良い」と主張していくためのものです。そのように反論を封じ込めておいて、持論を展開するからこそ、持論を述べ立てるだけよりも、説得力がはるかに強力になるのです。
 この解答例のような使い方をするぐらいなら、「確かに~しかし~」を使わずに、持論を一方的に述べてるだけの方が、論に矛盾がない分、同じ独りよがりではあっても、まだ健全な発想の文章だと言えます。
 このように、「確かに~しかし~」を、設問の指示に書かれているような形式的なものとして、意味も考えずに、やみくもに使おうとする人が多いので、そのような人の指導に従って書かれた作文は、「イイタイコト」を大切にして文章を読もうとする人にとっては、頭が痛くなるような不可解な文章になってしまいます。
 この言い方の強力さを発見して、広めた樋口裕一氏の影響力は目覚ましいものがあります。しかし、その本家本元である氏が、めちゃくちゃな「確かに~しかし~」の使い方を指導しているのですから、その破壊力(悪影響)はすさまじいものがあります。

Nekoの解答添削例(リンクで縦書きPDF表示)

 私は、方言を進んで使っていきたいと考えています。
 確かに方言は、その地域に暮らしている人以外には分かりにくく、限られた人々の間での言葉という印象与えるかもしれません。
 しかし、自分が暮らしている地域の言葉を使って話すことで、相手と親しみが増したり、郷土を大切に思う気持ちが強くなったりします。他地域の人には配慮すればよいことなので(、)方言を大切していきたいと私は考えます。

 この解答例のような文章なら、75点ぐらいをあげても良いでしょう。もちろん合格点です。(高校入試の採点なら、満点)

解答添削例の問題点

 この添削例は、県発表の解答例をなるべく変更しないように作ったので、あまり望ましくない面もあります。
 樋口裕一氏は、「確かに~しかし~」を、「確かに」以降で、予想される反論を少し書く。「しかし」以降で、自分の意見をしっかり書く。というように説明して、説得力の強さを、論述の量の問題としてしか認識していません。だから、「認めた反論をどう処理するのか」という一番大事な部分に思い至りません。
 この私が添削した例では、反論に対する反論を、「他地域の人には配慮すればよいことなので」という表現で用意してあるので、もちろん、まともな文章です。
 しかし、全体の文章量に対して、高々200字の文章なのに、予想される反論で40字近くも使ってしまうと、樋口裕一ではありませんが、持論を展開する余裕がなさすぎます。
 もっとスマートな展開の文章にするためには、予想される反論は手短に納めて、持論の展開にもっと字数を使う方が、より良い作文になります。

 生徒の解答の中には、私の添削例よりも素晴らしいものがいくらもありました。県の作問係の偉い先生よりも、はるかに健全な発想をした生徒がたくさんいるということです。

タイトルとURLをコピーしました