情緒的に生きる下人

羅生門—情緒的に生きる自分を見つめる精神的苦痛

4.下人は理性的に行動を決めず、情緒的に生きる人間

 本来、我々が自分の行為を決定する場合には、自分の価値観や、倫理的な判断に基づいてなされるべきものだ。しかし「羅生門」に登場する下人は、行為の選択を迫られた時、いろいろ悩みながらも、結局は、理性によって判断を下す前に、まわりの状況に応じて生じた心理に身をまかせて行動してしまう、極めて情緒的な人間なのである。
 この小説の初めの方に出て来る、下人の「Sentimentalisme(サンチマンタリスム)」という言葉は、実は下人のこのような生き方を象徴的に表現しているのだ。

タイトルとURLをコピーしました