模擬店を自由競争にする

文化祭の模擬店を本当に自由競争にして、収入を競わせる

原体験を与える具体的なイベントとしての方法をいくらか考えると

 現在の学校の体制のままで、あまり教員の負担にもならずに実効をあげることのできそうなイベントとしての教育活動を、及ばずながら今現在思い浮かぶ範囲で私なりに考えてみる。
 一つは、文化祭の模擬店を本当に自由競争にして、収入を競わせる。
 もう一つは、アフィリエイトを活用して、生徒に本当の商売をさせる。
 他には、もう既に商業高校などで取り入れられている授業実践だが、株式投資もお金を考えていく上では絶対に避けては通れないことなので、一方で授業でしっかりと株式投資をする上での考え方を教えながら、一方で投資信託会社の株式投資のシュミレーションゲームをやることも、補助的な内容としてはいいかもしれない。

文化祭の模擬店を本当に自由競争にして、収入を競わせる

 我が校でも校内3学年24クラスを4チームにわけて、模擬店の部門も優劣を競わせる。だが、最初に資本の2万円を与えて、それを使い切ろうと、収入を多くだそうと評価には関係がない仕組みになっている。
 チケットの販売も、当日売りはなしで、前日のみである。これはおそらく、当日売りをすることによるリスクを避け、販売計画を立てやすくするためなのだろうが、これでは商売にならない。提供される商品がまずくても買わなければならないし、好評でも当日売りで手に入れることもできない。
 このような状態で優劣を競うといっても、たかだか味と、商品提供の手際ぐらいで、商売の実習に一役買うというまでにはなっていない。

生徒は材料をスーパーから仕入れようとする

 たとえば焼きそばを売るとして、何もこちらから言わなければ、生徒は材料をすべてスーパーから仕入れようとする。私などの商売の素人が考えても、一般的に考えれば小売店で買えば、中間マージンが上乗せされる分仕入れ費が高くなるはずだ。
 だが、生徒は仕入原価がどうの、売上原価がどうのとさんざん授業ではやっていても、自分が商売をするという具体的なイメージを持ちながら勉強していないものだから、いつも自分たちが買っているところから材料を買おうとして、よりよいものをより安く手に入れるためにはどうすればよいかなどということは考えない。
 ひどいときには、「スーパーで買うのなら、何軒かスーパーを回って、そばの値段を調べてこい」などと責任者に指導すると、「無意味なことを面倒くさいのにたくさんやらされた」と言って怒り出すこともある。

身近なところから身の丈にあった範囲で本当の商売をさせる

 当日売りを多くすれば、商品内容や、価格設定、商品を用意する手際なども当然利益に直結してくるので、純利益を対象に、チームの優劣を評価してもより客観的になるし、問題はない。
 売れ残って大赤字が出るのが心配なら、最初に渡すお金を10万円くらいに大きくし、仕入れ総額をそれ以上にならないように指導すればよい。そこまでの範囲の赤字なら、実習費ということで、どこのチームが赤字を出したからということではなくて全校で負担すればよい。
 そのようにするなら、儲けもすべて学校に還元させればよいから、学校総体としては、収支がかなり安定して、それほど心配するほどの損失にはならなくて済むはずだ。
 もっと商売をした気にさせようとするなら、利益を得点の大きな要素にするだけではなく、そこに関わった生徒に利益を還元しても良い。チームには模擬店の係以外にも、パネルや、ステージなどいろいろな係があるから、模擬店の損失をすべて、チームの生徒に負わせたり、まして模擬店の係の生徒だけに負わせては支障がでる。だから、利益・損益の2分の1とか、10分の1とかをチームの生徒全員に負担させる。
 損失まで負担させるのが難しいという判断になるなら、利益を10分の1還元するだけでも良い。実際に還元額がいくらになるかということではなくて、この際大切なことは、自分たちが利益を出すためにはどうすれば良いのかということを本気で考えさせることだ。実際にいくらかの利益を自分たち自身が手にすれば、それだけで、文化祭に参加するする生徒達の士気もあがろうというものだ。
 もらえるお金がこれっぽっちだからといってしらけてしまわないのが、学生のよいところだ。

本当は一見(いちげん)の客が卸店に行っても安くはならないことが多いのだけれど

 「小売店で買うよりも卸店で買う方が中間マージンがない分安くなる」というのは、基本の理屈だけを簡略化して述べた教科書のような説明で、本当はそう簡単にはいかない。
 そのルートに入っている販売店なら、卸店で買えば小売価格より安く、そのマージンが小売店の利益になる。ところが、一消費者が一見(いちげん)の客として卸業者の所に行っても、実のところは業者保護のため、小売店と同じ値段を取られることが多いのだ。
 だがそんな場合でも、相手が学生だから、「学生さんのためなら」と言って、業者さんもサービスしてくれることが多い。
 たとえば上の焼きそばのようなものだったら、私なら近所の製麺所に麺を頼み、卸売市場に野菜を買いにつれて行く。その他の雑貨は業務用スーパーだ。全員が全員をそんなところに連れて行くわけにはいかないが、責任者だけでも業者との交渉に連れて行くと、色々サービスしてくれたり、これを持って行きなといって半端物をただでくれたり、学生に対する社会の温かい目を感じさせる体験にもなる。

身になる些細な体験の積み重ねしかない

 こんなことなら既に実践している学校もたくさんあるのではないだろうか。生徒に商売の醍醐味と難しさを実感させるには、このような身近に転がっている素材を生かしながら、それら全体で、3年間をかけて自分たちが工夫していかなければならないという雰囲気を作り出していくしかないのである。