小論文の実例

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1.教育

問題
これからの日本の社会にとって重要であると思われる問題を一つ取り上げて、それについて八百字程度で論じなさい。

  (添削記号については、「凡例」参照のこと)

   学校が変われば子どもが変わる

 学校が変われば、子どもたちも変わってくる。(×というのも、)これから先、日本の将来を(×背負い)担っていくことになる(×のは、)今の若者を、教育を変えることでもっと大切にしていくべきである(×だからである)。
 私たちの考え方や人間性が一番大きく変化し、形成されるのは小・中学生の頃である。その時期に、多くの人と出会い、経験できる場所が学校といえる。その学校は今、大きく変わってきている。
 現代の小・中学生は、学校へ通うことができなくなり、引きこもりがちな子が多い。だが、なぜそのような子が増加したのだろうか。
 私は学校に問題があると考えている。(×段落がえ)今の学校は一学級四十人程度である。その四十人に対し、教師は一人だけというのが(×、今の)現状である。このような状況では、教師がどんなに優秀であっても、目の届かない問題は必ず出てくる。そのような(×教師がどんなに優秀であっても、そのような状況ですべての問題を解決できるだろうか。目の届かない問題は必ずあるだろう。その)問題が蓄積され、学校に行くことができない(×という)子どもが出てくるのだと私は思っている。
 現在、そういった問題を解決するために(×問題解決のため)、少人数制を実施する学校もある。しかし、これは(×なし)まだまだ普及しているとは言い難い(×されていない)。確かに、それを普及するため(×それが普及される)には、金銭面でも多大な出費を強いられることになるだろう。だが(×問題が出てくるが)、「よりよい社会を作ろう」というのなら、多少の(×少々の)出費は覚悟す(×大目に見)るべきだ。道路をつくり、よりよい環境をつくることも大切だが、その前に人間を育てなくてはならない(×ないといけない)。環境づくりはその後でよい。現在、大規模な(×大幅な)道路工事に当てている費用を、少しでも(×の少しでも、)教育面にまわしたらどうだろうか(×であろう)。それだけでも学校は大きく変化するはずだ。
 少子化を(×向か)えている現在の日本では(×で)、子どもたち一人一人に接することが(×、)以前よりも容易になってきている。今がチャンスである。今こそ私たちは(×なし)、学校に変化をもたらし、日本の将来を担う子どもを大切に育てる努力をしていくべきである(×す絶好の機会といえるだろう)。

 この小論文では、現代の小・中学生が学校へ通うことができなくなり、引きこもりがちになってしまう理由を、クラスの人数が多いことだけに求めている。確かに四十人という人数は、一人の教師が受け持つには多すぎる人数だろう。だが実際には、昔にはひとクラスの人数がもっと多い頃があったのである。
 だから本当は、現在学校に通うことができない子どもが問題になっている理由については、クラスの人数だけの問題ではなく、子どもを取り巻く社会的な背景にも目を向けないと、これ以上奥行きのある論文にはならない。だから、これだけの文章を書くことができたこの論文の筆者には、今後さらにそのような面に着目して考察を深めていくことを求めたい。
 また、この文章の表現に目を向けてみると、気の利いた書き出し、終わり方になっている。〈内容にかかわる表現の工夫が大切〉の項(p66)で述べた、「同じ内容をより読者に印象づけるための『表現の工夫』」の見本だ。確かにこういう書き方をすることによって印象度は増す。だから、こういう書き方が思い浮かぶなら、それをうまく利用すればよい。だがたとえば次のような表現になっていたとしても、得点に大きな違いはつかないはずである。
 君たちは、いたずらに奇抜(きばつ)な表現を求めることなく、論理を積み重ねて文章を完成させる努力を優先させてほしい。

 これから先、日本の将来を担っていくことになる今の若者を、教育を変えることでもっと大切にしていくべきである。
     〜中略〜
 少子化を迎えている現在の日本では、子どもたち一人一人に接することが以前よりも容易になってきている。この機会を有効に使い、将来を担う子どもたちを大切に育てていくべきであると私は思う。
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