小論文に自分の体験?

小論文に自分の体験を書くこと、具体と抽象

 小論文だからといって、自分の体験を書いてはならないということはない。むしろ自分の見聞きしたことを書くことによって、論がより具体的で、実地に基(もと)づいたものになることが多い。
 ただしここで注意すべきことは、具体的な(ある個人の)体験を、一般的な事柄を説明するために使うということである。だから具体例を書く場合には、何を説明するためにその例を使うのか、その例を使えば本当にイメージが豊かになるのかを吟味(ぎんみ)する。
 たとえば、誰でも思いつくような個人的な体験は、採点者をそれだけでうんざりさせる。そのような例なら、書くだけ逆効果になる。
 また逆に、抽象的なことばかりを書こうとすると、言葉だけが先行して、その言葉で自分がどのようなことを言おうとしているのかが分からなくなることがある。

抽象的な言い方をする時には、その具体例としてはどのようなことがあるか、具体的な例の時には、それを一般化して説明するとどうなるか、ということを常に考える。

 そしてそれを、書いていることのイメージを膨(ふく)らませるためにうまく利用しよう。

※抽象と具体の往復

 この項で述べた、抽象と具体との往復は、思考する上で絶対に欠かせない姿勢だ。
 だから当然、文章を読む場合でも極めて有効だ。抽象的な言い回しの時にはその具体例を、具体例の時にはそれをうまくまとめた抽象的な表現を探すと文意を正確に理解できる。

※「〜と〜と」

 傍線部「抽象と具体との往復」は、表題のように「抽象と具体の往復」といえないわけではなく、むしろそのようにいうことも多い。しかし、この「と」は、本来「〜と〜と」の形で並列を表す言い方になることを知っておいた方がよい。
 本来の形をとると、どうしても堅苦しく、回りくどい感じがするから省略することも多いが、逆に本来の形をとらないと、なんとなく崩れた感じになることも多い。
 そういうことを知った上で、どちらの言い方にするか適切に使い分けよう。
 これ以外に、「〜たり〜たり」「〜とか〜とか」についても、この形で使うので同様に注意する。

(例一)
なにも部活動に入ったり、検定に向けて頑張ったりしていないと作文を書けないわけではない(p18)。
(例二)
(小論文では、)文化とか、社会、経済とかについて真っ正面から議論をすることが要求されている(p13)。

 ただし、「とか」については「使うべきでない」と説明する参考書も多いから要注意。

※単独で使われる「とか」

 並列に並べるのではなく、単独で使われる「とか」は、書く本人自身本当は一つのことしかイメージしていないのに、さもたくさん考えているかのように思わせたいというさもしい心理が使わせる言葉である。
 これによって自分自身も、自分の浅薄(せんぱく)さに気づかないでごまかされていることも多い。たちの悪い言葉だから使わないようにする。

(例)
何が好きですか。
×スキーとかです。
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