対策の内容……応用問題

対策の内容について必ず述べる……応用問題
もう一つだめ押しで、問題点のある文章を見ておこう。君たちならこれをどう直すだろうか。この例題は、前三項にわたっていろいろ説明してきたことの復習だ。
例3a
政府が過疎地域を活性化をするための対策を講じなければならない。
確かに、少子化が進む世の中で、田舎に残っていても自分と同年代の人が少ない、職業を自由に選ぶことができない、福祉行政が行き届いていないといったよくない点ばかりが目立つのが今の時代の「田舎」である。
しかし、少子化が進む時代の中で、それらの問題点を克服していくことができる過疎地域の活性化策を政府が講じていくことによって、日本はより住みやすい国になるだろう。
確かに、少子化が進む世の中で、田舎に残っていても自分と同年代の人が少ない、職業を自由に選ぶことができない、福祉行政が行き届いていないといったよくない点ばかりが目立つのが今の時代の「田舎」である。
しかし、少子化が進む時代の中で、それらの問題点を克服していくことができる過疎地域の活性化策を政府が講じていくことによって、日本はより住みやすい国になるだろう。
一番の問題点は、対策の内容について何もかかれていないことである(p46参照)。
二番めの問題点は、「確かに〜しかし〜」の使い方である(p23参照)。二段落めは必ずしも、一段落めを述べた後の「予想される反論」にならないわけではないが、それをふまえて自説を展開しなくてはならない三段落めに全くその姿勢がない。
これについては、二段落めの「確かに」を取って、三段落めの「しかし」を、「だから」にかえると一応解決する。
それで、第一の問題点を解決するために、四段落めに具体的な対策を述べると、なんとか小論文の形になる。
さらに、文章の流れを考えて、次の例3bのように、最後の段落と具体的な対策との順番を入れ替え、最後の段落を少し書きかえると、もう少しスマートな文章になる。
この対策の内容については、〈対策の内容について必ず述べる〉の例二よりは、自分独自の意見を書きやすいはずだ。
例3b
政府が過疎地域を活性化をするための対策を講じなければならない。
少子化が進む世の中で、田舎に残っていても自分と同年代の人が少ない、職業を自由に選ぶことができない、福祉行政が行き届いていないといったよくない点ばかりが目立つのが今の時代の「田舎」である。
だから〜 −ここで具体的な対策−
このように、現代の田舎の問題点を克服していくことができる過疎地域の活性化策を政府が講じていくことによって、我々は日本をもっと住みやすい国にしてゆくべきだ。
少子化が進む世の中で、田舎に残っていても自分と同年代の人が少ない、職業を自由に選ぶことができない、福祉行政が行き届いていないといったよくない点ばかりが目立つのが今の時代の「田舎」である。
だから〜 −ここで具体的な対策−
このように、現代の田舎の問題点を克服していくことができる過疎地域の活性化策を政府が講じていくことによって、我々は日本をもっと住みやすい国にしてゆくべきだ。
次に一応の見本として、元の「確かに〜しかし〜」を生かした例文を載せておく。
例3c
政府が過疎地域を活性化をするための対策を講じなければならない。
確かに、少子化が進む世の中で、田舎に残っていても自分と同年代の人が少ない、職業を自由に選ぶことができない、福祉行政が行き届いていないといったよくない点ばかりが目立つのが今の時代の「田舎」である。
しかし、「田舎」のマイナス面ばかりに着目していてはいつまでたっても状況はよくならない。都市中心に人間生活のあらゆる機能が集まっている状況を見直し、様々な場所に、そこに応じた社会的な機能を分散していくことで、新しい日本の国のあり方が生まれてくるのではないだろうか。
確かに、少子化が進む世の中で、田舎に残っていても自分と同年代の人が少ない、職業を自由に選ぶことができない、福祉行政が行き届いていないといったよくない点ばかりが目立つのが今の時代の「田舎」である。
しかし、「田舎」のマイナス面ばかりに着目していてはいつまでたっても状況はよくならない。都市中心に人間生活のあらゆる機能が集まっている状況を見直し、様々な場所に、そこに応じた社会的な機能を分散していくことで、新しい日本の国のあり方が生まれてくるのではないだろうか。