組み立てを考える

組み立てを考える

 実際に何をどういう流れで書くかということを検討する場合に、書くことができそうなことについて関係があることを紙にとりあえず全部書き出して、そのうちで使えそうな部品を選び出し、それをどのような順番に並べるべきかを考えてみるという手がある。
 その具体的なやり方は、B4用紙を十六枚切りにしたカードを用意する。それに、とにかく書くことができそうなテーマと関係がありそうなことをすべて記入していく。その際の注意すべきことは、

  1.  一枚のカードに必ず一つの事柄だけを書く。一枚にいくつものことを書いてしまうと、それを並べ替えることができなくなる。
  2.  「パソコンの便利さ」のような大きな話題だけではなく、「パソコンの便利さ」「定型作業のスピードアップ」「誤りの少なさ」「省力化」というように、なるべく考えたことを小さい部品に分けて、それを一枚ずつに書き分ける。
  3.  紙の大きさをそろえる。違うと、紙の大きさに思考が影響を受ける。用紙の規格化が大切。
  4.  項目を書く場合、すべてを文章にしてしまわず、その内容が分かる要点だけを簡単に書く。

ということだ。
 それがすべて終わると、君たちの目の前には、自分の頭の中にある、自分が選んだテーマについて材料となりそうなものがすべて書き出されているはずだ。それを、まとまりや因果関係などを考えて分類していく。
 たとえば、

  • パソコンの便利さ
    • 定型作業のスピードアップ
    • 省力化
    • 誤りの少なさ
  • 便利さがかえって盲点になる。>
    • 仕事が効率的にできるため、今までできなかったようなことまでしてしまい、結果的に仕事が増える。
    • 誤りがないと思い込んでしまい、命令ミスによる誤りに気づきにくい。

のように並べ替える。
 さらに、それらの相互関係を考えて、文章の始まりに使えそうなもの、説明の課程で使えそうなもの、結論にすることができそうなものというふうに、文章になりそうな材料を、論理の流れを作りながら順番に並べてみる。
 そしてその段階で、文章をまとめる際に足りない視点なり、材料なりを発見したら、どんどん新しいカードを追加して、文章の流れをカードのつながりで見通せるようにする。
 最後に、文章の論理展開を決めたら、その順番にカードをホッチキスでとめるなり、大きな紙に貼るなりする。後はその流れに従って、実際に文章を書くだけだ。
 以上の作業全体で注意することは、論理展開を考える時に、作ったカードをすべて使おうとしないことである。カードはとにかく思いつくものすべてについて作ってあるのだから、これを全部使おうとすれば、何を言おうとしているのか訳が分からなくなってしまう。論理展開をする上で取り込めないものは、いくら魅力的な着想であっても絶対に使おうとしないことだ。
 それでもその着想を使いたい場合は、発想を変えて、その着想を生かすことができるような文章の流れを別に考える。
 以上述べたような方法の利点は、通常我々が頭の中でやっている作業を、目の前に引き出して、手にとって見ながら操作できる点だ。
 だから、文章のまとめ方に慣れてしまえば、八百字程度の文章を書くのに、わざわざこんなに手間のかかる方法をとる必要はない。だが、頭の中だけでは文章をなかなか整理しきれないで悩んでいる人は、一度やってみることをお勧めする。
 この方法をとれば、「文章を書いている間に話題が知らないうちにずれていく。」というようなことには絶対にならないはずだ。

※アイデアを練る道具としてワープロを使う

 実は本文で紹介した方法は、約三十年も前に出版された本に書いてあるとても古めかしい方法だ。今日ではワープロ(パソコン)がかなり普及しており、それのコピーしたり移動したりする機能を使えば、何も風にとばされることを気にしながらわざわざ紙を並べてゆかなくても、これと同じことができる。
 それだけではなく、ワープロを使えば手書きよりもかなり楽に文章を練ることができる。だからワープロを使うことができる環境にある人は、それを利用して、以上のような方法を試してみよう。
 だが悲しいかな、国語の授業で文章を書く練習をするのに、ワープロを一人一台ずつ使えるような環境は、なかなか今の高校教育の現場にはない。そこで、こんな古めかしい方法の紹介もしなければならないというわけだ。
 ワープロというと、文章の見栄えをよくする清書機能ばかりが着目されがちだが、本当のところは、アイデアを練る道具としての使い方の方がはるかに重要だと私は考えている。君たちは、アイデアを練る道具としてのワープロに着目し、これを十分に使いこなしてほしい。
 なおワープロを活用する上での注意すべき事柄については、〈ワープロを活用する場合の注意点〉(p43)で説明する。

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