主張に至るまでの部品

作文における主張と、それに至るまでの部品

 前項で説明した、「文章を構成する各要素を、主張に向かうための材料として並べる」ということは、小論文では当然のことだとすぐ気がつくのに、それが作文になるともういけない。君たちは、何を訴えるために、何をどの順序で書くかということを考えずに、物事をあるがままの順番、すなわち起こったことを時間の順に並べてしまう。
 たとえば遠足に行った時のことを作文にするとしよう。このときの君たちの作文は、あったことを時間の順に書いて、最後に「楽しかったです。」というような感想を書くパターンが圧倒的に多い。
 「私の高校生活」という題の作文でもこれと同じだ。多くの人が、「入学した時は」「二年生になって」「三年生が引退して」「これからは」というような文章を書く。
 だが、君たちはもういいかげんに、こういう書き方では小学生の作文のようにしかならないということに気づかなければならない。
 君たちがこの「私の高校生活」という作文を通して訴えたいことは何だろうか。それは、「入学したての頃の至らない自分」ではないはずだ。三年間を通しての頑張りを訴えたいのなら、その中でも一番頑張ったのはいつだろうか。それを考えて、文章で訴える柱にする。
 今君たちは、入学した頃、二年生の時、三年生になった頃のことを振り返ってこうだと思っている。しかし今君たちが思っているのと全く同じことを、実際にその経験をしている最中に思っていたわけではないはずだ。三年間の懸命な取り組みの中で身に付けたものがあり、それがあるからこそ、以前の自分をある程度客観的に見ることができるようになっているのである。
 君たちが訴えなければならないこととは、このように、ここまでの高みに到達している今の自分である。その今の自分に到った努力を読者に分かってもらうために、一番頑張った時の体験や、自分の未熟さを実感させられた経験を振り返ってみるのである。
 たとえば、第三章〈一、部活動〉(p15)の例文なども、そのような発想から生まれた文章である。参考にしてほしい。

物事を、あるがままの順番にではなく、主張を述べる上で大切な順番に整理して利用する。

※あるがままの順番

 ここでいう「あるがままの順番」とは、「時間の順」「体験の順」だけではなく、「考えた順」なども含めた言葉として理解してほしい。
自分の考えを説明しようとするとき、我々はどうしても自分が考えた順番に人にも説明しようとしてしまいがちだ。しかし、そのことを分かってもらうためには何から説明するべきかと改めて考えてみると、先に要点をきちんと説明してから、他の誤った考えに言及していく方がはるかに分かりやすいということに君たちも気が付くはずだ。
 なんでも考えた順に説明しようとはせず、自分が述べたいことを理解してもらうために一番よい説明の順番を常に考えることを習慣にしよう。(p31 3参照

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