短時間で文章を書くこと

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短い指定時間で文章を書くということ

 「作文」「小論文」のテストはおおむね六十分で八百字だ。だがこの条件にあわせて、短時間に文章を書く練習をいくらしてみても、たぶん自己満足に終わるだけだ。
八百字近い文章を書くには、書く内容がはっきりと定まっていても、ほとんど書きっぱなしで六十分かかるはずだ。この時間では、内容について考える時間も、下書きする時間も、推敲する時間もほとんどない。だから、この時間でまともな文章を書けというのは、書き慣れた人にとってもどだい無理な話なのである。
 まして、「書く内容がない」「文章のまとめ方がよく分からない」君たちが、この条件にあわせてレベルの低い小論文もどきをいくら書いてみても、何の足しにもなりはしない。
 先にも書いたように、文章を書くということはじっくり考えるということだ。あらかじめ出題されそうなことについて、いくらでも時間をかけて、調べ、考えてみる。そうやって自分で納得のいくベストなものを仕上げる。先生に見てもらう。そしてもう一度書き直してみる。そういう推敲を繰り返す中で、物事に対する考え方、文章の書き方のこつとでもいったものが身に付いてくる。そしてそういうものが身に付いているから、六十分という短い時間で書きなぐっても、そこそこの文章を書くことができるのである。
 字数についても、最初はあまり神経質になる必要はない。字数が少ないのは、書くべきことを思いつかないのだから話にならないが、長い分には最初は多少長くてもかまわない。むしろ、推敲を重ねて無駄を削っていくうちに、字数が少なくなってしまうことが多いから、それを見越して、最初多めに文章を用意しておくぐらいでちょうどよい。
 そこから推敲を重ねて、終始一貫した無駄のない文章(p19参照)を書く訓練をする中で、どれくらいの内容があれば、どれくらいの文字数を書くことができるのかという感覚がつかめればよいわけだ。
 だから君たちは、最初から時間・字数などといった表面的なことばかりにとらわれないで、「自分にはもうこれ以上のものはできない。」と思うほど突き詰めて文章を練りあげるという本質的な部分で努力を重ねてほしい。

量より質

 推敲を繰り返し質の高いものを完成させることで、 ものの考え方、文章の書き方のこつが身に付く。

 自分がこれまでに文章を書くための訓練をどれだけしてきたかを考えてみるとよい。たいていの人は、ほとんどそのための努力をしてこなかったはずだ。練習量の少ない君たちにとっては、一回一回の練習の重みには計り知れないものがある。君たちは、それを信じて質の高い練習をしてほしい。時間あわせ・字数あわせは試験間近になってからで十分だ。

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