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みんな書くことがない

 文章を書けと言われると、みんな困ってしまいますね。「どう書いてよいかわからない」「何も書くことがない」。しかし、これは何もあなた(生徒)だけの話ではありません。大人だって、ひょっとすると文章を指導する立場にある国語の先生だって、文章を書くのを苦手にしている人は意外と多いのです。
 一方で、文章を書くのが嫌いではない(好きな?)人たちも確かにいます。でも、それではそのような人たちが本当に書くことに困っていないのかというと、そんなことはありません。いくらでも書くことがあふれて出てくるような人は本当に少数で、多くの人は、やっぱり書くことがなくて苦しんでいます。
 「思うことを自由に書きなさい」などと言われても、「その思うことが無いんだから何とかしてくれ」と思っているのはあなただけではありません。
 作文の書き方についてあれこれ偉そうなことを書いている私にしても同じことで、生徒には2,000字の読書感想文を書けと簡単に言いますが、いざその子が優秀賞でももらって、作者のプロフィールを担任として書かなけらばならなくなると、たかが400字もないような文章なのに、宿題が苦になって寝る時も強迫観念になってのしかかってきます。(結局はすぐに寝てしまうのですけれどもね。)
 ですから、文章を書くのが大変だというのは、本当は「自分だけが大変」なのでありません。実はみんな大変な思いをして文章を書く努力をしているのです。
 それなのに私たちは、「自分は才能がないから」というような言い方をします。それは結局、自分に才能があるとか無いとかいうよりも、本当はどうだか分からないのに、もっと正確に言えば本当はあるはずなのに、「自分は才能がない」と自分をだめなように勝手に自分で決めつけて、努力しない結果、結局やっぱり自分が思ったとおりのダメな自分になってしまっているだけなのです。
 つまり、私たちは、自分で勝手にだめな自分をイメージして、その通りのだめな自分になっているのです。
 このようなことは、何も作文の話だけにとどまらず、実は人生の多くの局面で実際にしばしば起こっていることなのです。ですから、もし「そんな生き方は嫌だ」と本気であなたが思うのなら、自己啓発の本などを読んで、自分の生き方を根本から変えていく努力をしていかなければなりません。

 「そんな、分かったようなお説教は聞きたくない」ですか。でも本当はちょっと「人よりうまく文章が書ける」などということより、はるかに大事なのことなのですが……。

 そうですか。分かりました。作文の話しでした。
 ともかく、「自分だけが才能が無いから苦労している」などというのは、幻想です。こんな、自分を悲劇のヒロインにしたてて嘆くような被害妄想の考えは早いこと捨てて、とりあえずまず自分の才能を磨く努力を始めてみましょう。

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