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自分の立場を明らかにする

 文章の論じ方について注意しておかなければならないことを、新聞の文章を例にとって、以下の二項で解説する。
 一つ目は、文章を書くときの筆者の立場の見せ方である。
 新聞は、「社会の木鐸(ぼくたく)」を気取って、偏(かたよ)りのない正しいことを言っているという姿勢を装(よそお)っているふしがある。だから「書いている筆者」というものをなるべく意識させないような書き方をする。
 たとえば、一般の記事では意見を主張するような書き方をしないのはもちろんのこと、たとえ何か意見に触れるような場合でも、「私は〜と思う。」というような言い方はしないで、「〜が〜と言っている。」というような表現をして、さも客観的な立場から意見を紹介しているかのように装うことが多い。
 だが、おおよそ人間の見方には、「どの立場にも属さない中立」などということはありえない。いくら中立を装った書き方をしても、多くの事実の中から何を取り上げるか、誰の意見を書くかによって、文章が読者に読みとらせるものは全く違ってくるのである。
 新聞の記事を数紙見比べてみるとよい。一見中立で正しいことを書いている新聞が、同じことについてどれほど違った論調で取り上げているかということに、君たちはきっと驚くに違いない。
 「文章を書く」とは、本来、そのことについて「自分の立場、姿勢を明らかにする」ということだ。自分がある一定の立場から意見を述べていることをわざと隠そうとする新聞のような文章の書き方は、意見を述べる者の責任を放棄したものであるから、君たちはこのような書き方を絶対にまねてはならない。

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